土星シナストリーと相性

シナストリーと相性|相手との土星アスペクト

本記事の概要

シナストリーの意味

占星術におけるシナストリーとは、自分と相手のホロスコープの関係性を見る技術です。安易な「相性占い」とは違い、恋愛・結婚・仕事などにおける一つ一つの人間関係の持つ試練や可能性について、より深い理解を与えてくれる分析法です。

シナストリーでは自分のホロスコープ内の天体が、相手のホロスコープ内の天体と形成するアスペクトについて考察します。

例えばあなたのチャート内の太陽が、相手のチャート内の金星とコンジャンクション(0度)を形成する場合、二人の間に「太陽と金星のインターアスペクト(本記事ではシナストリーアスペクト)」が存在する、という風に言います。

心理占星術では

太陽自我と生命エネルギーを表し

金星人間関係・愛情を表す天体ですから

この二つがシナストリーで接触する関係においては

お互いとの「愛情や友好関係を育む欲求の活性化

が起こると予測できます。

これは非常にシンプルな見方ですが、両天体のハウスやサインの意味を加えるとさらに意味深い解釈となっていきます。

なぜ星座の「相性」はあてにならないのか

従来の占いや占星術では、例えばお互いの太陽や月のサイン(星座)の組み合わせを見て「相性の良し悪し」を判断するわけですが、実際には「相性が良くない」組み合わせでも長年上手くやっている夫婦もいれば、 「相性が良い」組み合わせでも離婚してしまう夫婦も多くいます。

これらの夫婦のホロスコープを見ると、「相性の良くない」二人を強く結びつけるシナストリーのアスペクトや、逆に「相性の良い」カップルの長期的関係を難しくするシナストリーのアスペクトが見て取れるかもしれません。

結論としては、単に太陽や月星座の組み合わせの「相性」を見るだけでは二人の人間関係についての情報はあまり得られない、ということです。

シナストリー分析は占星術の中でも非常に深い分野ですが、本記事では長期的関係を可能にするのにほぼ必須な天体である土星のシナストリーアスペクトについて考察します。

土星シナストリーに関する誤解

古典的な占星術を勉強していると土星=凶星という見方が強いですが、この見方をシナストリーに当てはめるのは間違っています。実際は、長く続いているカップルのシナストリーにはたいてい土星が関わっています。

土星の役割は、「制限」を通じて人生に秩序をもたらすというもので、これは人間関係にもあてはまります(結婚とは、これから一生を通じて一人のパートナーに制限されるという誓約です)。

何事も、土星の影響なしには長期的な成功はあり得ません。結婚や恋愛にしても、土星の関わりがないと、相手と少しでも問題が起きたらすぐ別れたいと思ってしまうかもしれません。

次は、土星シナストリーアスペクトについてもう少し探っていきます。(自分のホロスコープの土星が相手の天体と形成するアスペクトと、相手の土星が自分のの天体に対して形成するアスペクトの、両方見てみることをお勧めします。)

土星と各天体のシナストリー:恩恵と試練

土星太陽シナストリーアスペクト

土星と太陽のシナストリーアスペクト:【重要な絆】

土星と太陽のシナストリーはお互いにとって重要です。「土星側」の人は「太陽側」の人に必要な秩序と安定をもたらし、太陽側の人のエネルギーは土星側の人の孤独な外郭を突き抜ける暖かさもたらす可能性があります。

その反面、土星側の人の暗さやネガティブさが強すぎる場合、太陽側の人の愛情や明るさが心に届かない危うさがあります。

土星と月のシナストリーアスペクト

土星と月のシナストリーアスペクト:【深刻な感情】

月は太陽よりも土星のプレッシャーに弱い天体だと言えますが、これは月星座にも大きく左右されます。山羊座の月ならば土星の圧力を受けても平気でしょうが、射手座の月は束縛を感じるかもしれません。

しかし、この組み合わせも前述の「太陽-土星」と同じほど重要な関係になる可能性はあります。特に、土星側の人が、月側の人の感受性を尊重してあげられるほど成熟している場合は、より付き合いやすくなるでしょう。

土星と水星シナストリーアスペクト

土星と水星のシナストリーアスペクト:【智慧への導き】

水星と土星のシナストリーは、特にビジネスや師弟関係においては非常に有意義です。土星側の人の智慧や人生経験が、水星側の人の考え方に影響を与えます。

反対に、水星側の人の知識が、土星側の人の成熟に貢献するという可能性もあります。これは、どちらが年上であるかに影響されることが多いでしょう。

土星側の人が厳格すぎる場合や水星側の人が批判的すぎる場合、コミュニケーションが上手くいかなくなるという危うさもあります。

土星と金星のシナストリーアスペクト

土星と金星のシナストリーアスペクト:【社交性の成熟】

金星と土星のシナストリーは、前述の「月-土星」の組み合わせと同様、金星のサインに大きく左右されます。土のサインの金星は、土星が要求する「責任」により応えやすい配置だと言えます。

成熟した人格を持つパートナー同士の場合、金星側の人が土星側の人の必要とする社交的成長をもたらすでしょう。

土星と火星のシナストリーアスペクト

土星と火星のシナストリーアスペクト:【エネルギーの抑制】

この組み合わせは、特に火星側の人が制約を好まない場合、お互いへのイライラが募りやすくなります。親密な関係においては、二人で協力して取り組むことのできる何かがあると助けになります。

ノエル・ティルは、このアスペクトの活用について、「生産的な方向にエネルギーを注ぐにはコントロールが必要」だと理解することだ、と言います。コントロールとは、即ち責任であったり誓約であったりします。これは、シナストリーにも当てはめられる考え方でしょう。

当然、仕事やビジネスなどにおいては役立つ組み合わせです。

土星と木星のシナストリーアスペクト

土星と木星のシナストリーアスペクト:【目標と進歩】

木星と土星のアスペクトは「目標と努力」「拡張と安定」の協力です。シナストリーにおいても、これは非常に生産的な組み合わせです。お互いの長期的目標が一致している限り、このシナストリーアスペクトが活動する領域において素晴らしいチームワークが可能になるでしょう。

土星と土星のシナストリーアスペクト

土星と土星のシナストリーアスペクト:【自分の試練の強調】

土星と土星のシナストリーは、同年の数ヶ月以内に生まれた人や、または7歳・14歳・21歳(約7年ごと)ほど歳の離れた人との間に起こります。

この組み合わせはお互いの出生図の土星の配置を強調する効果を生みます。もしかすると、この相手は自分の出生図の土星を象徴するような存在(父親・指導者・上役・先輩など)かもしれません。

とすると、この関係は、あなたが自分のチャート内の土星の試練をどれほど乗り越えているか試す機会であると言えるかもしれません。

土星と天王星のシナストリーアスペクト

土星と天王星のシナストリーアスペクト:【新旧の対立】

土星と天王星の組み合わせでは、天王星側の人が土星側の人にショックなほど新たな考え方・生き方を提供するかもしれません(世代の差による可能性もあります)。

土星側の人が慣習を重んじる人であったり、権威のある立場を持つ人である場合、天王星側の人のアイデアを押さえつける可能性もあります。

土星と海王星のシナストリーアスペクト

土星と海王星のシナストリーアスペクト:【特殊な影響】

この組み合わせでは、海王星側の人の精神性や美的感性が土星側の人に好影響を与えるかもしれません(土星側の人には受容性が求められますが)。

海王星には「虚偽・困惑・アルコールやドラッグ等の影響 」といったネガティブな意味も存在しますが、どちらの現れ方をするかというのには当然個人差があります。

土星側の人は海王星側の人に必要な現実性を提供し、海王星側の人は土星側の人に新たな世界の喜びを提供する可能性があります。

土星と冥王星のシナストリーアスペクト

土星と冥王星のシナストリーアスペクト:【強力な連携】

土星と冥王星の組み合わせは、ともすれば重く深刻になりがちで、相手の持つ地位・影響力を意識する関係となるかもしれません。この人間関係の本来の目的は何でしょう?

お互いに目標に基づいだポジティブな関係を持つことができれば、非常に生産的な組み合わせです。この好例としては、アップルの創始者たちであるスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの両氏がいます(ジョブズ氏の土星がウォズニアック氏の冥王星にスクエア)。

土星とアセンダントのシナストリー

土星とASCのシナストリーアスペクト:【指導的関係】

アセンダント(ASC)軸は天体ではないので、土星側の人から影響を受ける側となるかもしれません。土星側の人が、ASC側の人の自己形成・自己表現(ASC)を成長させる可能性を考えると、これは典型的な師弟関係を表すかもしれません。

しかし、アセンダント側の人の方が年長である場合は立場が逆転し、ASC側の人の人格が土星側の人の成熟に大きく影響するという現れ方も考えられます。

土星とMCのシナストリー

土星とMCのシナストリーアスペクト:【キャリアへの影響】

これは重要な関係である可能性が強いと言えます。土星側の人が権威者としてMC側の人のキャリアの方向性に影響を与える可能性があります。

先ほどと同様に、MC側の人の方が年長の場合、MC側の人のキャリアが土星側の人の成熟に影響する、という現れ方もあります。

まとめ:土星シナストリーと長期的な関係の構築

成長や成功には、土星の象徴する「責任」の重荷が必須であり、それは相手と「信頼しあった関係」を築く際にも必要不可欠です(これは結婚にとどまらず師弟関係やグループ内の関係も含みます)。

土星のシナストリーアスペクトの存在は、人間関係の破綻を暗示するものではありません。むしろ、そのアスペクトの示唆する試練について長く学び続けるほど、より意義深い長期的関係を築けるようになるでしょう。

「シナストリーと相性|相手との土星アスペクト」への14件のフィードバック

  1. こんにちは!そうですね。例えば、夫の土星は山羊座23度にあります。これは姑の山羊座の太陽24度とほぼ合です。姑は、夫が生まれた時に嬉しかったというより、男の子で責任を果たしたという気持ちが強かったそうです。田舎の旧家の長男ですからね。しかし、夫はこんな生真面目な姑とは違う太陽射手座で月が獅子座の私と一緒になりました。アハハ。。。私の水瓶座の土星と、夫の双子座の月、天秤座の金星が120度です。

  2. ひろき先生。

    これからビジネス上で大切なパートナーとなりえる女性ふたりが、ふたりとも私と
    土星 ハード 火星でどうなってしまうのかと思っていたところでした。

    この視点で考えてみると、わたしの夢みがちなところを現実性を持つおふたりとの関係性により占い関連への発展へと生かせることにもまた気づきがありました。

    必要なタイミングにシナストリーの読み方を教えていただきありがとうございます!

  3. すごく勉強になりました!
    質問なのですが、シナストリーの場合、オーブは何度とられているでしょうか。
    それとシナストリーの場合、ノードを考慮することが多いですが、土星とノードのアスペクトがあった場合、どう読まれますか?

    1. ありがとうございます。

      オーブは出生図と同様、5度半ほどを目安にすると良いと考えます(大体の目安ですが、ぴったりなほど強力です。)

      シナストリーにおけるノード軸は「前世からの縁」という意味で考えることがあります。土星ならば尚更、因縁を感じるかもしれません。

  4. 新里ひろき 先生

    ものすごく参考になる記事をありがとうございました。
    理系学問の師匠との、下記シナストリーの疑問が晴れました。

    ① 師匠の木星土星合と、私の太陽水星合がコンジャクションで四重合
    ② 師匠の冥王星と私の土星が60度で、①を頂点とする四重ヨードが形成される
    ③ オーブは全て1度未満であり、①は私の11室カスプにピタリと乗ります

    もう故人なのですが、研究テーマを引継ぎ今でも敬愛しております。
    記事を読んで嬉しくなり、私も心理占星術講座で学んでみたくなりました。
    師:太陽と私:テイルは合なのですが、先生は①~③をどう思われますか?

    1. あさげさん コメントありがとうございます。占星術を通して見る人間関係は興味深いですよね! オンライン講座でも取り扱っておりますので、ぜひ学び続けてください。

      お師匠の木星土星とご自分の太陽水星の合というのがおそらく最も強力な接点で、考え方に強く影響するポジティブな師弟関係を反映しています。

  5. こんにちは
    山羊8室に土星があります。
    ポジティブに考えるとどんな影響が出ますか?
    日本の本にはネガティブな事ばかりです

    火星は土星天王海王120です
    太陽は火星と90です

    7室射手の天王あるからか、一回離婚してるのでいろいろと気になります

    1. タロウさん 「土星と〇〇のシナストリーアスペクト」と書いてあるように、コンジャンクションだけではなくメジャーアスペクト総てに該当すると考えて見てください。

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