心理占星術と潜在能力の開放

心理占星術とは? 運命は性格にあり

心理占星術とは占星術の一種で、心理学的な側面から人間を理解する手法です。ホロスコープ(生まれた瞬間の天体配置。出生図とも言う)の天体や星座の配置から、心理的欲求、人間関係のパターン、その人に必要な方向性などを読み解くことが可能です。

「運命は性格にあり」とは古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスが残した有名な格言です。ここで重要なのは、人格(性格)と運命は切り離せないものである、という考え方が昔から存在していたという事実です。

出生図の天体配置から性格や傾向を読み解くというのはかなり昔から行われてきたことで、日本の星占いなどでもその名残として「〇〇座はこういう性格」などの描写があります。ただ、こうした占いでは人格と運命の深い関係性について考えずに、単なるエンターテイメントとしての性格描写に収まってしまっているというのが現状ではないでしょうか。

出生図が示唆する数々の心理的要素(欲求・方向性・環境・潜在能力その他)は、あなたの人格がどのようにして形作られてきたのかを理解する鍵になります。そしてさらに重要なポイントとしては、より自分にふさわしい成長の道筋や、より自分らしい人格の形成に繋がる要素を示してくれるのです。「運命は性格にあり」というのは一つの真実だと思われますが、心理占星術がもたらす洞察によって、性格そのものの変化や成長が可能となるのです。

心理占星術の歴史

人類は古代から天体の観察を行ってきており、各地の古代文明の神話なども太陽や月その他の天体がモチーフになっています。占星術の厳密な発祥の地を定義するのは難しいかもしれませんが、西洋占星術の起源は古代ギリシャであるという考え方が一般的だと思われます(近年ではクリス・ブレナン氏著のHellenistic Astrologyなどの影響で古代ギリシャの時代の占星術の勉強が盛んになっています)。

「運命は性格にあり」という格言からも察せられるように、人の人格や心のあり方について、古代の哲学者や宗教家たちは深く思索を重ねてきました。古代の占星術において、出生図の天体配置が人格に与える影響というのも当然考えられており、古代バビロニアの占星家が書いたとされる「アセンダントが〇〇のサインの1デカンなら美徳を持った人になり、△△サインの3デカンなら犯罪者になる」などの描写が残っています。

一九世紀末から「心理学」が科学として発達し始めるにつれて、占星術が心理学を取り入れ始めたのも自然な流れと言えるでしょう。心理学の発達と共に占星術の心理的ボキャブラリーは膨大な進化を遂げます。特筆すべきはスイスの心理学者カール・グスタフ・ユング博士の思想で、元型論やタイプ論を始めとするユング派心理学はリズ・グリーンを含む多くの現代占星術家に影響を与えました。

一般的に「心理占星術(Psychological Astrology)」とは現代心理学と西洋占星術を融合させたものをそう呼びます。心理学が多数の学派や専門に分かれているように、心理占星術にも多様な流派や方向性が存在します。例としてはユング派心理学者のリズ・グリーン、統合心理学(ロベルト・アサジョーリ)の影響を受けたハワード・サスポータス、そして欲求理論(デイビッド・マクレランド)を占星術と統合させたノエル・ティル他、多数の心理占星家がいます。

国家資格を持った心理療法家やソーシャル・ワーカーがプロの占星術家として活動することも珍しくなく、スティーブン・アローヨ、グレン・ペリー、グレッグ・ボガート、ドナ・カニンガム、マーク・ジョーンズなど数々の現役のカウンセラーが専門家としての経験を著書に残し、心理占星術という分野に貢献してきました。

心理占星術の活用方法

自己理解を深めるツール

現代の心理占星術は、雑誌のホロスコープ占いなどとは比較にならないほど洗練された人格の分析を可能にします。自分の生年月日と生まれた時間・場所に基づいた出生図は世界で一つしか存在しないもので、まさしく「自分だけの物語」を反映しています。

古代ギリシャのアポロン神殿には「汝自身を知れ」という格言が刻まれており、天からの教訓だと考えられていました。アポロンが予言(神託)の神であることを考えると、前述の「運命は性格にあり」と繋がりを感じさせる言葉ですね。

これらの格言をさらに補足すると、自分を深く理解することで人格は成長する。人格が変化するにつれて、運命も自然と変化していく、と考えることができます。通常の人生において、「自分を知る」という経験は長年を経て体験した苦しみや失敗などによってもたらされることが多いのですが、心理占星術によって得られる洞察は、自己理解に至るまでのプロセスを飛躍的に加速させてくれます。

人間関係の改善

 心理占星術がもたらす洞察には「繰り返される人間関係のパターン」「人間関係において陥りやすい傾向」「自分にあった人間関係のあり方」などが含まれます。出生図の分析を通じて「なぜ似たような失敗を繰り返してしまうのか」「なぜ似たような人ばかり周りに集まってくるのか」といった疑問にも答えが得られます。
 
人間関係の失敗に繋がる心理的要因を認識することができれば、問題は9割方改善に向かいます。そして、失敗を避けるだけでなく、「自分が生きやすくなる人との付き合い方」や、「自分が必要とするもの」を認識できれば、人間関係において求めるものを手に入れられる可能性が劇的に増大するのです。

 

仕事・キャリアの選択

心理占星術が「心理カウンセリング」と異なる大きな理由の一つには、出生図が自分の潜在的才能や「向き・不向き」を明確に表してくれる事が挙げられます。キャリア選択において「自己理解」が大切になるのは周知の事実ですが、心理占星術は通常のキャリア・カウンセリングとは異なり、本人自身が気づいていない資質や才能も明らかにします。

転職の際に自分に合った仕事を見つけるというのは心理占星術の活用方法のひとつですが、出生図の表す自分の資質を理解することで、現在の職場においてより活躍するための方針が見つかることもあります。更に、起業を考えている方にとっても自分の強みや向き不向きを知ることは非常に有意義です。得意な事を自分が行い、不得意なことを他人に委任するなどの選択肢が明確になるからです。

 

初心者向け記事

ホロスコープ(出生図)とは、あなたが生まれた瞬間の天体模様を記録したもの。心理占星術とは、古来から受け継がれてきた占星術の技術を、現代を生きる人の悩みの解決や自己発見に役立てるために進化させたものです。

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新里ひろき

アメリカ・フロリダ州在住の心理占星家。南フロリダ州大学を卒業後西洋占星術界の重鎮ノエル・ティルに師事。氏の難解で有名なマスターズ占星術認証コースを最優秀の成績で卒業。来日セミナー、オンライン講座、心理占星術ポッドキャスト等を通じて活動中。