西洋占星術におけるエレメントの定義
西洋占星術においては、12星座を4つのエレメント(4元素)に分けて考えます。
牡羊座・しし座・射手座は自己主張、情熱、創造性を現す「火」の星座。火のサインの天体を多く持つ方は、エネルギッシュで個性的表現を恐れず、行動力豊かな人物となる可能性を持っています。
山羊座・おうし座・乙女座は責任感、努力、現実性を現す「土」の星座。土のサインの天体を多く持つ人は堅実で安定しており、組織的才能を発揮できる可能性を持っています。
天秤座・水瓶座・ふたご座は社交性、コミュニケーション、知的能力を現す「風」の星座。風のサインの天体を多く持つ方は知性的かつ柔軟な姿勢を持ち、豊かな社交性を生かせる可能性を持っています。
蟹座・さそり座・魚座は感受性、他者との共感、想像力を現す「水」の星座。水のサインの天体を多く持つ方は繊細さ、豊かな感情と創造性を発揮できる可能性を持っています。
ホロスコープの中のエレメントの強調と不足
出生図の円はこれら全てのエレメント(四区分)を内包していますが、 天体配置によって特定のエレメントの強調・不足などの偏りが生じます。情熱、責任感、社交性、共感などは全ての人の中に存在する性質ですが、環境や天分によって各性質の配分に個人差が出るという事でしょう。
エレメントの配分を見る時には、特に個人的天体(太陽から火星まで)と木星、土星の配置に重きをおきます。例えば、これらの天体がひとつも火の星座に位置しないばあい、火のエレメントが不足していると考える事ができます。
心理占星術の視点:特定のエレメントが不足・欠如している場合
出生図内のいずれかのエレメントが不足、または完全に欠如している場合、多くの場合「過剰補正」となって現れる事があります。つまり、無意識に自分に足りないと感じられるものを補う欲求が高まるという事です。
火のエレメントの欠如した出生図を持つ人は「自己主張」「創造性発揮」への強力な必要性を持つ場合があります。無意識に、弱く感じられる自分の個性をより強く実感するために、人前や舞台に立つ仕事を選ぶ事もあります。
土のエレメントの不足した出生図を持つ人は、反って現実的な成功や目標達成を重要視する可能性があります。無意識に現実性の不足を感じており、地に足をつけた生活への必要性を感じるのかもしれません。
風のエレメントの欠如した出生図を持つ人は、知的コンプレックスを克服するために、反って知識やコミュニケーション能力を活かす仕事を求める事があります。
水のエレメントの不足した出生図を持つ人は、愛情や共感への強力な必要性を覚える可能性があります。多くの人との感情的つながりを求めて、大きな理想や博愛精神を要する仕事を求める場合があります。
エレメントの不足から生まれるもの
「エレメントの不足・欠如」という言葉は誤解を招きやすいので注意が必要です。たとえば「水のエレメントの欠如」は「感情の欠如」あらわすものではないし、「風のエレメントの不足」は「知性の不足」を現すものではない、ということです。不変の心理状態ではなく、個人差こそあれ何らかのコンプレックスの存在を示唆すると捉えてみると良いかもしれません。
心理的コンプレックスへの対応手段は人それぞれですが、過剰補正という考え方は、弱点を隠すのではなく、克服するための方向性を提示してくれます。場合によっては不足したエレメントが才能の一端となる事もありますから、注目する価値ありといえるでしょう。
アメリカ・フロリダ州在住の心理占星家。西洋占星術界の重鎮ノエル・ティルに師事。氏の難解で有名なマスターズ占星術認証コースの最優秀卒業生。日英完全バイリンガルの占星術家で国際的に活動。日本語で占星術セッション実施中。2012年より心理占星術オンライン講座シリーズを開始。2015年より日本で唯一ノエル・ティル公認の占星術師養成講座「占星術マスターズコースJAPAN」を開始。
新里先生こんにちは。
エレメントをユングのタイプ論の内的直観、感覚、思考、感情、外的直観、感覚、思考、感情に当てはめて点数をつけたりするやり方をみたことがありますが、ティル流心理占星術ではそういったやり方は取り入れてはいないのでしょうか?
私がみた方法では、太陽・月…5点、水星・金星・火星…3点、木星・土星…2点、天王星、海王星、冥王星…1点で計算をしていました。
kne*さん こんにちは。
エレメントの点数付けというのは、占星術の初級の教科書ではたいてい取り上げられているやり方です。
ノエル・ティル式心理占星術においては、こうした基礎的内容は既に学んだ中級・上級者を対象にしているので、ほぼ知っていることが前提になります。