本記事では土星と天王星のアスペクトについて触れてみます。出生図に土星と天王星の0度・90度・180度をお持ちの方、またはトランジット天王星から土星へのハードアスペクトを経験されている方にとって特に重要です。(60度・120度をお持ちの方も、本記事の内容を潜在的可能性として捉えることができます)。
土星と天王星アスペクトが表すもの
長年積み上げてきた「経験」を表す土星と、これまでとは違う方向への「革新」を表す天王星は、一見すると相容れない組み合わせに見えます。しかし他の全てのアスペクトと同様、この両天体の組み合わせも、人生において必要な学びを表しています。
「時間の経過」と「豊かな経験」の違い
ある有名なビジネスマンが、こう問いかけているのを読んだことがあります:
「あなたは20年間この仕事をやってきたと言うが、
それは本当に20年分の経験を積んだのか、それとも、
1年分の経験を20年間繰り返しただけなのかい?」
手厳しく、それでも真実を秘めたこの言葉は、ビジネスの世界だけでなく、芸術、武道その他、あらゆる分野のプロフェッショナルが共感できる洞察だと思います。
出生図、またはトランジットの土星と天王星のアスペクトについて考える時、この問いかけが強い意味を持ってきます。何故なら、土星は「過去の経験(歴史)」を司る天体ですが、同時に長年の経験によって「固定化した習慣」をも表すからです。
土星の「経験」の落とし穴
健康的な食生活や、毎日の運動など、良い習慣ばかりがパターン化されれば言うことはないのですが、多くの場合「悪い習慣」も身につけてしまうものです。
例えば、3ハウスや水星と関わる土星を持つ人が「落ち込みやすい習慣」を身につけたとします。この場合は、望ましくない考え方のパターン化が起こったと捉えることが出来ます。その習慣を20年間続けてしまうと、問題が起こりますね。
この他にも、土星の配置によっては、対人関係における悪習慣(例:自分を押し殺してしまうパターンなど)や、仕事における良くないパターン(例:途中であきらめてしまう習慣など)を身につけてしまっているかもしれません。
これらは、「時間の経過」が「豊かな経験」につながるわけではない、という例です。良くないパターンを何十年繰り返しても、望ましい結果は起こらないのです。
天王星と土星:無意識に存在する「リミッター」の解除
誰しも、人生のどこかの部分で、無意識に自分の本来の可能性を制限する習慣を身につけています。今以上の充実や成功を望むのならば、こうした無意識の「リミッター」を解除し、望ましくない習慣を打ち破るだけのエネルギーが必要です。
出生図の土星と天王星がコンジャンクション(合)、スクエア(90度)、オポジション(180度)を形成している人は、両天体が関連する領域(サインやハウスを参照)において、過去の習慣を打ち破る必要性が特に強いと見ることができます。
トランジットの天王星が出生図の土星とハードアスペクト(0度・90度・180度)を形成する場合、土星の司る事柄(サイン・ハウスを参照)における無意識の自己制限や悪習慣を打ち破る時期が到来したことを示唆しています。
天王星には「予期せぬ急な変化」、という意味があります。自分でも驚くほどの「新たな方向性」や「新たな自己表現の方法」を見出すには、天王星のトランジットはうってつけでしょう。
土星の示す「価値ある経験と知恵」
心理占星術において、天王星は「過去の束縛」からの解放のために必要なエネルギーを象徴しています。その半面、土星はこれまで築き上げてきた「価値ある経験」も表しますから、一方的に否定することはできません。
トランジットの土星が天王星に対してスクエアやオポジションを形成する時期は、激しく変化を求める一方、これまで積み重ねてきたものの重みを痛感する時期でもあります。それは地位や結婚に伴う「責任」の重圧かもしれませんし、または自分の中に培ってきた「先人の常識や知恵」の重みかもしれません。
出生図内における土星と天王星のアスペクトは、「過去から得た有意義なものを尊重しながら、新たな方向性を見出し、挑戦し続けること」の重要さを表しているのです。
まとめ:土星と天王星のアスペクト
片方には長年背負ってきた「責任」と「習慣」の重み
もう片方には「自由」と「新たな境地」を求めてざわめく心
過去の重圧に押し殺されることなく
責任から逃げずに、新たな可能性を見つける
この、決して楽ではない中道を歩むことで
土星と天王星のアスペクトは
あなたにとって意味深い
「永続きする変化」
をもたらすと思われるのです
先生いつも楽しみに拝見しています。
私は、今年、プログレスチャートで土星180°天王星が正確な形成に至るのですが、プログレスでの意味も、トランジットの時と同じように考えてよいでしょうか?
あと、どのくらいの期間作用するのか、今一つ今までの過去のプログレスから実感が湧かないのです…
どうぞよろしくお願い致します。
Kさん こんにちは。プログレス(Secondary Progression)チャートにおいては土星以遠の天体はほぼ全く動かないので、未来予測的な意義はなくなります。
ノエルティル式占星術においてはソーラーアークとトランジット、及びにプログレスの月を活用しています。詳しくはソーラーアークについての記事、並びにオンライン講座の第2部で完全な未来予測の方式を勉強することができます。
こんにちは☆
いつも読ませていただいていたのですが あまりにも深い洞察と的確な分析にワクワクしてしまいました
私個人で言えばちょうどネイタルの土星にトランジットの天王星が合です 行ったり来たりですが。
それと同時にアセンダントを冥王星が通過
ものすごい変化があって 結果とてもいい流れになっていますが
またもや今度はネイタルの月にトランジットの冥王星が合です
月に冥王星はなかなかハードで最初はその重みというか深みから出てくることがなかなかできなくてしんどかったんですが でもこの配置も自分で選んで生まれてきたんだなぁと思います
そんなときに心理占星術をしっかり読んでみて これはやはりかなりおもしろい!と感じました。
長くてすみません
心理占星術では例えばドラゴニックのチャートを使ったりヘリオセントリックのチャートを使って読んだりはしないのですか?
Fantasticさん コメントありがとうございます。
他のシステムは専門外なので詳しくないのですが、心理占星術の趣旨はいわばエゴ(自我)の成長ですから、通常の出生図を使うのが自然だと考えます。
ひろき先生
いつも先生のブログ記事を読み、そのアスペクトをなぜ手にして生まれてきたのか?について想いを馳せています。
自分の中の蓄積してきたものは、それが古くなったり不要になったのなら改革していかなくてはいけない。自分のリミッターをはずすことのできる自分があってのものですね。
ルナさん コメントありがとうございます。
そう、出生図で土星と天王星のアスペクトが関わる場所においては、特にこうした考え方が有意義になるかもしれませんね。
お返事ありがとうございます。
初めてコメントします。
n天王&冥王星(乙女12ハウス)とt土星(4ハウス)がトラインです。
土星の象徴「固定化した習慣」
新旧の対立だけでなく、冥王星も絡んでいるので、刷新そのものっていう感じかなという気がします。「殻を破り、生まれ変われ」土星が着実に身にするから…そんな感じかな。少なくとも現実に私はそれを求められています。t土星が4ハウスにいるから、基盤を整える時期です。私にとっては、資格を取ったり、体を鍛えたり、考え方を変えたり…
度々失礼します。
ホロスコープは、「まとめ」を全て語っているとびっくりしました。
「>この、決して楽ではない中道を歩むことで
土星と天王星のアスペクトは
あなたにとって意味深い
「永続きする変化」
をもたらすと思われるのです」
今こそ、リニューアルですね(笑)
良いタイミングでこの記事を拝読しました。
答えを探していて、サイトにきました。
ネイタルで、冥王星&天王星と土星が、オポジションです。
いつも資格を取ったり、自分磨きが気になります。もっと人生を楽しむ生き方があるのではないかと思ったりしますが、
達成感のほうが、うれしいのです。
木星が、土星と60°の影響もあるのでしょうか?少しわかった気がします。
ただ思っているほどやりがいのある仕事に恵まれず、力を発揮出来ない想いで苦しんでいます。タイミングもあったのかも知れません。あくせくする自分は、理解できましたが、永遠に達成感を追い求め続けるのかという疑問は、消えません。
キョンさん 学びを続け、自分を磨いて得られる達成感は素晴らしいですよね。あとは、仕事か他の方面でどのように自分の力を発揮していくかが課題のようですね。