金星 占星術

心理占星術における金星:効果的な人間関係に必要なもの

前回の記事「心理占星術における水星」では、水星が「効果的な思考表現に必要なもの」について現すとお話しました。本記事ではホロスコープの中の金星の働きについて紹介します。

人間関係における水星と金星の役割の違い

社会における人づきあいにおいて、思考表現が重要な位置を占めるのは言うまでもありません。水星はどの星座やアスペクトを持っていても、基本的には的確なコミュニケーション・情報伝達を担当しています。水星が効果的に働けば働くほど、仕事における効率的なチームワーク、巧みなプレゼンやレポート提出などが可能になります。水星はこれらの事務的なコミュニケーションを明確に行うのに必要不可欠ですが、人間関係の要である感情面においては実はそれほど強くありません。

金星は人間関係における感情面を司ります。人と楽しく付き合う上で必要不可欠な「好き」という感情や、相手への共感、賞賛、感謝などの情感は全て金星の担当です。金星が効果的に働けば働くほど、相手への好意を伝えたりする能力が発揮され、周囲の人から「魅力のある人だ」と思われるようになります。金星分析において従来はルックスやファッション感性などが強調されますが、美的感性は情感面の一部であると考えると解釈の幅が広まります。

金星星座の情感面への影響

優れた知性を持っていても周囲の人の気持ちに鈍感な人がいるとしたら、おそらく金星よりも水星を強調して使用しているのでしょう。金星の位置する星座が情感よりも知性・機能を優先する傾向を持つ場合(乙女座、山羊座などが良い例です)、情感の発達に影響します。ノエル・ティル曰く、乙女座の金星は「感情について語る事が出来るが、感じる事が出来ない」傾向があり、山羊座の金星は(責任優先のため)情感の発達が遅い、との事です。

この他にも、火の星座(牡羊、牡牛、射手)はエゴ充足の欲求を優先するため、人間関係に積極的である反面、相手への共感に欠ける可能性があります。逆に水の星座(蟹、蠍、魚)は他者への共感に非常に優れる反面、傷つくのを恐れて感情を内に抑える傾向が見られる事もあります。

土の星座(牡牛、乙女、山羊)は主に情感よりも機能優先ですが、牡牛座(金星の支配星)は理想的な人間関係を持続させる欲求と性質を備えているようです。風の星座(双子、天秤、水瓶)は相手への好感情を現すのに優れており、現代社会における金星の表現に適した配置と言えます。

効果的な人間関係に必要なもの

金星の配置は「効果的な人間関係に必要なもの」を示しています。効果的な人間関係とはつまり、自分と相手にとって満足いくものでしょう。お互いに、月や金星星座の持つ欲求(月の欲求を参照)を人間関係において充足させようとする訳です。相手との相性について考える場合、求めるもの(月・金星の配置)が似ていれば互いに与えあう事も簡単です。

出生図内の月と金星星座の持つ欲求が似ている場合(例:月・金星が両方とも火の星座に位置している場合、積極的にエゴの充足を求めます)、必要としているものは明らかです。月と金星星座の持つ欲求が相反する場合(火の金星と水の月など)、人間関係において欲求の一面を満たす反面、もう一つの強力な欲求(月)を自分の内面に抱える事になり、仕事やプライベートな生活の中で充足を図る必要があります。

あなたのホロスコープ内の金星の配置

上記の考察の他にも、金星のアスペクトによる感情表現の遅延・促進などについて考えると、更にユニークな分析が可能になります。ご自分の出生図内の金星について考える時、「私は大切な人に上手く好意を伝えられているだろうか」「私の金星配置の示す長所は何だろう。どの傾向について注意するべきだろうか」「月の欲求と金星の欲求は調和しているだろうか」という風に分析を始めると、有益な洞察が得られるのではないでしょうか。

Photo: Dorli Photography

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