月冥王星アスペクト

月と冥王星のアスペクト:「深淵を覗く心」

概要
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    ホロスコープの月と冥王星のアスペクトは深い情緒的変化を示唆しています。月は感情や欲求を表し、冥王星は「死と再生」を象徴。英語には「魂の暗夜(dark night of the soul)」という表現があり、辛い経験を通して心が一度「死」を経験して生まれ変わるような体験のことを指します。月と冥王星のアスペクトはこうした深い変化心理的成長の可能性を示す事が多いので、本記事ではその現れ方についていくつか考えていきます。

     

    月冥王星アスペクトが示唆する母親の性格

    出生図の月と冥王星が緊張のアスペクト(コンジャンクション、スクエア、オポジション等)を形成する場合、母親を支配的または過干渉な存在として経験した可能性があります。もちろん家庭により個人差はかなりあるのですが、母親からの強いコントロールを受ける、安心できない関係だったというケースは多いようです。

    月は母親の象徴です。冥王星は「逆らえない強い力」を表し、場合によっては「力による支配」「力の濫用」を示す象徴でもあります。月と冥王星が緊張のアスペクトで繋がる場合、母親との関係を「強いコントロール」として体験するというのも納得いきます。

    月冥王星のアスペクトを「深い心理的変容」の可能性として捉える場合、母親から受けたコントロールやネガティブなメッセージを乗り越えることで強い心を手に入れる、というのもひとつの変化の現れ方だと考えられます。

     

    自分の子供が月と冥王星のアスペクトを持っている場合

    上記のような描写を見ると、自分の子供のホロスコープに月冥王星アスペクトがあるお母さんが心配してしまうのですが、もちろんこういったネガティブな表現が約束されているわけではありません。全てのアスペクトには良い表現と望ましくない表現が複数あります。

    もし自分の子供が月と冥王星のアスペクトを持っている場合は、冥王星のより良い性質:深い心理的洞察や、強い信念を持った人格を表現していくことが最善策だと言えます。そうすれば、子供にとって「コントロールしてくる母親」ではなく「自分の気持ちを深く理解してくれる母親」「ゆるがない信念を持つ強い母親」という風に捉えられる可能性が高くなります。

     

    月と冥王星アスペクトの表す「心の深淵を覗く」体験

    ギリシャ神話では冥王星は地底にある黄泉の国の王として君臨しています。心理的には、冥王星は人間の意識下に潜む暗い欲望原始的な感情に繋がります。月と冥王星のアスペクトは、月(感情)が冥王星の世界に引き込まれるプロセスを表しています。よってこのアスペクトを持つ人は、人の感情の暗い部分を知ることになると考えられます。

    個人コンサルテーションを行っていると、子供の頃に大人のネガティブな側面を目の当たりにして育ったというお話をよく聞きます。大人は意識していなくても、子供は大人の感情表現をよく観察しています。イライラや憎しみ、批判、愚痴や嫉妬などが溢れ出るような家庭環境において、子供は大人の暗い感情に非常に敏感になります。

    こうした感情は、子供にとっては非常に怖いものですが、極端なケースにおいては、子供自身に大人のネガティブな感情が向けられることがあります。それは大人の欲求不満やストレスのはけ口としてかもしれないし、もっと深刻な「虐待」と呼べるような表現をとるかもしれません。

    個人差こそあれ、月と冥王星のアスペクトは人の心の「深淵」を覗く体験を表すことが多いと思われます。そうした体験が心理的なトラウマとして残る場合は、心の傷跡と向き合って癒やしていく作業が「心理的変容」を可能にします。

     

    月冥王星アスペクトが与える強さと洞察力

    全てのアスペクトは長所とも弱点ともなり得ます。多くの場合、心理的な統合や成長が進むほど、「問題」を反映していたアスペクトが「強み」や「長所」として表現されるようになっていきます。

    月と冥王星のアスペクトの場合は、人の心の暗い奥底まで覗く経験を得ることで、鋭い心理的洞察力を身に着けることが予測できます。そして、自分自身の心を深く知ることで、ゆるがない強い信念使命感を得ることも考えられます。

    人によっては、無意識の奥深くに意識を向けることで、オカルトやスピリチュアルな次元に踏み込むことさえ考えられます。

     

    月冥王星アスペクトの意味

    上記の試練や強みを踏まえて、月と冥王星の各アスペクトの意味を考察していきます。

    月冥王星コンジャンクション(0度)

    ホロスコープ内の月と冥王星のコンジャンクション(合)は感情と「無意識の奥底」との結びつきを象徴します。人の心理に関する鋭い洞察力となって現れることが予測できます。実在した人物の役作りに極めて優れていると評価されるレオナルド・ディカプリオは月冥王星コンジャンクションを持っています。無意識の世界に踏み込み研究し続けたカール・ユング博士の出生図にも冥王星と月のコンジャンクションが見られます。

     

    月冥王星セクスタイル(60度)

    月と冥王星がセクスタイル(60度)を形成する時、冥王星が象徴する「無意識の底から湧き上がる影響」が感情や欲求を活性化させます。「呪術師ドン・ファンの教え」で有名なカルロス・カスタネダや、オカルティストとして知られたアレイスター・クロウリーは出生図に月冥王星セクスタイルを持っています。

     

    月冥王星スクエア(90度)

    月と冥王星のスクエア(90度)は自分の感情・欲求(月)と「逆らえない力(冥王星)」の強い緊張を示唆しています。前述した「支配的な母親」などのかたちで冥王星の力を経験したというケースも多いですが、それ以外にも理不尽な力を持つ存在やグループからの圧迫を受けたりする体験として現れるかもしれません。

    ホロスコープに月と冥王星の緊張がある場合、自分の感情や欲求を犠牲にしてしまわないことが大切です。力を持つ相手に屈しないことで、やがて自分自身にも強靭な精神力が身につき、揺るがない信念や影響力となって表現されると予測できます。

    非暴力・不服従を貫きインド独立の原動力となったマハトマ・ガンジーは月冥王星のスクエアを持っています。圧倒的な権力を持った相手に屈しなかった信念の持ち主です。他には、人一倍の努力で貧困や人種差別等の「圧倒的不利な状況」を乗り越え成功したマイケル・ジョーダンも月冥王星スクエアの持ち主です。

     

    月冥王星トライン(120度)

    月と冥王星のトライン(120度)は感情・欲求(月)と無意識の深い領域(冥王星)との強い調和を示しています。オカルトや人の感情の暗い部分への興味として現れるかもしれないし、深い真実を求める探究心として表現されるかもしれません。

    ホラー作家のスティーブン・キングは月冥王星トラインを持っています。量子論や原子模型で知られる理論物理学者ニールス・ボーアも月と冥王星のトラインの持ち主です。この他には、上記のガンジーの例と似ていますが非暴力による人種差別廃止運動で知られたマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が月と冥王星トラインを持っています。

     

    月冥王星オポジション(180度)

    月と冥王星のオポジション(180度)は冥王星の「抗えない力」と月の欲求・感情との衝突を表します。オポジションは人間関係で表現されやすいので、文字通り逆らえない力を持った人との対立といった形を取ることも十分考えられます(前述の「支配的な母親」が一例)。

    オポジションは対立したエネルギーの心理的統合により解決できるので、例えば母親に「許せない部分」があるとしたら、それを自分自身の中に見出す(例:自分自身の心の中にも支配的、操作主義的な側面があるかもしれない)といった作業を通じて、他人に投影しているネガティブな側面を統合していくことが可能になります。もちろん、母親に限った話ではありません。

    月冥王星のオポジションでは冥王星が他人に投影されやすいので、自分自身の心の奥底の暗い部分に気づいていくことが問題の解決に繋がることもあります。

     

    まとめ:月冥王星のアスペクトが暗示する変化

    月は情緒的成長のプロセスを表すので、月と冥王星のアスペクトは、自分や人の心の奥底を知ることが成長のためのテーマとなる事が予測できます。心の深淵の部分を覗くというのは怖い作業ですが、月冥王星アスペクトを持つ人にはそれを成し遂げる勇気も備わっていると思うのです。

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