太陽冥王星アスペクト

太陽と冥王星のアスペクト:埋もれた「大きな力」

概要
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    出生図の太陽と冥王星のアスペクトは大きな心理的変化の可能性を暗示しています。太陽は「自我」「生きる目標」を象徴し、冥王星は「死と再生」「エンパワーメント(力の付与)」の象徴と言われています。太陽と冥王星の繋がりはアイデンティティの大きな変容について示唆していますが、本記事ではどのような形の変化が起こるのかを考察していきます。

     

    太陽冥王星アスペクトの象徴する「心理的な死と再生」

    ギリシャ神話では冥王星は「黄泉の国の神」として描写されており、彼の君臨する地底の死者の国は、仏教やキリスト教でいう「地獄」と似た感じのものです。ホロスコープの太陽の配置がアイデンティティの成長過程を表すとすると、太陽冥王星アスペクトを持つ人は成長途上で「心理的な死や地獄」を体験してきた可能性があります。

     

    神話において、死の象徴である冥王星(プルートゥ)は「抗えない圧倒的な力を持つ存在」として描写されています。ホロスコープに太陽と冥王星のアスペクト(特にコンジャンクション、スクエア、オポジション)を持つ人は、成長途上でこうした「逆らえない力を持つ存在」から抑圧を受けた可能性があります。

     

    このアスペクトを持つ誰もが虐待やトラウマを体験するというわけではないのですが、比較的穏やかな人生を送った場合でも、どこかで冥王星の「地下の世界」を垣間見るような体験をしている可能性があります。それは家族の「死」に心を深く揺さぶられる体験だったり、暴力や「いじめ」、差別や「横暴な支配」を間近にみる体験だったりするかもしれません。

     

    成長途上のこうした体験は心理的に深い爪痕を残し、それが後々の「変化の原動力」になることもよくあります。心理療法などを通じて過去のトラウマと向き合い、問題を解決していく作業なども、太陽冥王星アスペクトの良い表現です。

     

     

    冥王星の表す「富」や「大きな力」

     

    冥王星は「死」と同時に「富」の象徴でもあります。この連想は、地下に隠される金脈や原石から来ているのかもしれません。英語のPlutocracy(富による支配)という言葉にも冥王星(Pluto)が入っています。

     

    心理占星術においては、冥王星は経済的な力だけでなく様々な領域における「大きな力」を象徴しています。例えば、政府などの巨大な力を持つ組織、権力を持つ政治家たち、そして大きな影響力を持った著名人なども冥王星の力を表現しています。

     

    ホロスコープに太陽と冥王星のアスペクトを持つ人は、将来的に大きな力を発揮する可能性を持っています。しかし、力を得る前に、「力の発揮を妨げる要因」をつきとめる必要があるかもしれません。

     

     

    太陽と冥王星のアスペクトが示唆する「埋もれた黄金」

     

    冥王星(プルートゥ)は地底の黄泉の国を収める存在で、彼の持つ富も全て地底に隠されています。ちなみに太陽は黄金の象徴ですが、太陽と冥王星のアスペクトは、この黄金が地下の国に隠された、または埋もれてしまった状態を示すと見ることが可能です。

     

    では心理的に考えて、何が太陽を埋もれさせてしまうのか。

     

    冥王星は「圧倒的な力を持つ存在」として表現されます。大人にとって逆らえないほどの力を持つ存在とは、国家権力だったり会社の上層部の命令だったりします。しかし子供にとっては周りの大人がそういう存在であり、仮に周囲の大人から強い抑圧や虐待を受けた場合、それに逆らうことができません。

     

    こうした「力の悪用や濫用」を体験した場合、太陽(自我)が大きく抑圧されてしまい、安全のために「自己表現」を避けるようになるかもしれません。自分の光を隠してしまうのです。もちろん表現には個人差がありますが、大人から積極的に被害を受けた場合でなくとも、環境が非常に抑圧的なものであった場合、自由に自己表現できなくなってしまうことはあります。

     

    ホロスコープに太陽冥王星アスペクトを持つ人は、埋もれてしまった太陽を掘り起こす必要があるかもしれません。「地底の王」である冥王星は物事を「深く掘り下げる」能力を象徴していると考えることができます。地下を掘り下げることで金脈を見つけたりするように、一つのことについて研究や探求を深めることで大きな発見をしたり、心理的な問題について掘り下げていくことで、力強い自己表現の方法を見つけたりすることが可能になります。

     

     

    太陽冥王星アスペクトの表現

     

    以上のポイントを踏まえて、太陽冥王星の各アスペクトの表現について考察していきます。

     

     

    太陽冥王星コンジャンクション(0度)

    太陽と冥王星のコンジャンクション(合)は太陽の「生きる目標」と冥王星の「死と再生」「大きな力」の融合がテーマになります。心理的なトラウマがある場合はそれらを克服する必要があり、そこから心理的な洞察力や説得力を身に着けて表現していくことが考えられます。心理的な力だけではなく、経済的、肉体的な力を身に着ける可能性も存在します。

    俳優と政治家として成功したアーノルド・シュワルツェネッガーは出生図に太陽冥王星コンジャンクションを持っています。彼は子供の頃に父親から肉体的虐待を受けて育ちましたが、それが辛い状況から脱出し、達成するための原動力になったと語っています。

     

     

    太陽冥王星セクスタイル(60度)

    太陽と冥王星のセクスタイル(60度)は冥王星の「深く掘り下げる力」が太陽の自我を活性化させます。自分の専門分野において大きな力を発揮できそうです。発明家のトーマス・エジソンや、物理学者のアインシュタイン博士が出生図に太陽冥王星セクスタイルを持っています。

     

     

    太陽冥王星スクエア(90度)

    太陽と冥王星のスクエア(90度)は、太陽の「アイデンティティ」の発達に冥王星の「逆らえない力」が抑圧を与えた可能性を示唆しています。周囲の大人の影響、または環境そのものが、自由な自己表現を妨げるものだったかもしれません。心理的な影響の深さには勿論個人差がありますが、強度の抑圧を体験した可能性があります。

    心理的抑圧が強すぎて自己表現が埋もれてしまっている場合は、それを解放することで驚くほどの力を得るだろうことが推測できます。

     

     

    太陽冥王星トライン(120度)

    太陽と冥王星のトラインは太陽の「生きる目標」と冥王星の「深い所に潜む大きな力」の強い調和を示しています。自分が掘り下げていきたい分野を発見して追求することが直接「生きがい」や強力な自己表現に繋がりそうです。武道家からアクションスターとして成功したブルース・リーは出生図に太陽冥王星トラインを持っています。

     

     

    太陽冥王星オポジション(180度)

    出生図の太陽と冥王星のオポジション(180度)は、太陽(アイデンティティの発達)と冥王星(圧倒的な力)の衝突を示唆しています。理不尽な抑圧やトラウマ等を体験した場合、それらと直接向き合って乗り越えていくことで強い心理的な力を身に着けていきます。

    オポジションは人間関係において表現されることが多いのですが、太陽冥王星のオポジションの場合は権力・財力・影響力その他の「大きな力を持った人」との関係が強調されるかもしれません。成長を重ねるにつれ、そうした人達との協力関係を自分の力に加えていくことができそうです。

    邦題「人を動かす」という世界的ベストセラーの著者であるデール・カーネギー氏はホロスコープに太陽と冥王星のオポジションを持っています。

     

     

     

    まとめ:太陽冥王星アスペクトの秘める力

    ホロスコープの太陽と冥王星のアスペクトが示唆する試練や可能性について考察してみました。冥王星はトラウマの可能性と同時に巨大な力を得る可能性を示唆する象徴です。自分自身の過去の心の傷の中にこそ、自分を大きく変える可能性が秘められている。冥王星はその可能性について教えているようにも思えるのです。

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